陽だまり、そして朗らかな希望
3月になった。
大学1年生の夏の終わり、ふとブログを書こうと思い立ち、それから3年半の月日が流れて今は卒業式を目前に控えた具合である。
朝。上着を脱ぐにはまだ肌寒いくらいの、人類が最も生活するに適したであろう気温。澄んだ空気は麗しいベールとなってわたしを包み、しんとした静寂はわたしを味方している。
コツ、コツ、コツ。ヒールが鳴る。一定の心地よいリズムが耳に届く。自然と背筋が伸びて、視点は遠く先に。宝石のようにきらめく川。ちいさな子どもたちの弾んだ声。
風。潮の香り。横の女から漂う香水。Cカール。
色褪せない音楽と、着実に老いていくわたしたち。
こんなにもおだやかな気持ちで迎える春は、いつぶりだろう。大学の4年間はあまりにも楽しくあまりにも苦しかった。
感情にはいろいろな類のものがあることが分かったし、偏差値だけでははかれない人の賢さというものを知ったし、わたしは特別な人間でないことを悟ったし、血が繋がっていようと、どれほど長い時間を共にしようと、どれほど好きだと思っても、人と人が完全に理解しあうことは出来ないことを思い知った。
何度死後の世界を想像し、何度生きとし生けるものの美しさに身震いしたことか。
生きててよかった、
そんな夜は、ここだ!