がんばらないをはじめる
布団に入って目を瞑り、眠れるのをぼうっと待っている
得体の知れない涙が右の頬を伝っていく
起き上がって薬をのみこみ 机の上に不規則に積み上げられた本のタワーをみつめる
そんなことをしていると、何某かに引っ張られていきそうになる
わたしを 何が どこに連れていこうとするのか
わからないけど、時折、その引っ張られる感覚を肌で感じることがある
わたしは、孤独の人間で、孤独を真に愛していて、孤独を心から憎んでいる
夜のあいだ 部屋と外界をつなぐ窓の隙間から
わたしの魂が逃げ出すのを感じる
夜のまちをわたしは浮遊して
さまざまの生活を観察している
愛に似た何かを必死にもとめあうひと
永遠を信じるふりをするひと
自己憐憫にかられるひと
同じように浮遊するひと
いろいろなひとがいて すべてちがって すべて美しく すべて惨めで それがひとで、生活で、いのちなんだと思う