よーい、ドン
自分の中にひそんでいる悪魔を、時に見て見ぬふりをして、時に様子を伺ってみたりして、時に痛めつけたりして、なんだかそんな様にしてもともに向き合うということがなかった。ここ8年間くらいのこと。
またここでわたしは言い訳をしてしまうわけだけれど、「こころの病気なんてみとめない。精神科には行かせない。」と形相を変えて、強く冷徹に言われたその言葉がトラウマになってしまっていた。ああ、ここにいる間は自分の悪魔を押し殺そう。あの頃のわたしはそう心に決めていた。
一人暮らしを始めて自由と孤独を知った。何度も腰を上げようとした。だけど自分の精神状態の不安定さとトラウマによって、なかなか向き合えないまま、気付けば大学四年生になっていた。
身体がおかしかった。頭痛が治らず、薬を飲んでも効かず、体がとにかく重く、怠く、夜は寝付けず、朝は早くに目が覚めた。そんな生活を1ヶ月ほど繰り返し、さすがに、と自我を取り戻したのだと思う。
診察の予約をした。
悪魔に初めて名前を付けられてホッと肩を撫で下ろす自分を、自分で、みつめていた。
わたしは、わたしの人生を生きるんだ。
だれでもない、わたしだけの人生を。
苦しいことがたくさんあって、生きることは地獄のようで、そんな人生を恨みたくなるけれど、これはすべてわたしが蒔いた種で、自分でなんとかするしかない。
2021、わたしはわたしと向き合っていくためのスタートを切った。